おばあちゃんは、スーパーウーマン
幼稚園を休んでばかりだった私は、一ヶ月の半分しか友達と顔を合わせなかった。
一度休めば何日も熱が下がらなかったこともあったけれど、ズル休みもした。
幼稚園へ行っても友達と仲良くするのが苦手で、私の落ち着く場所は鳥小屋の中かうさぎ小屋の中だった。
格子の金網の間から空を見上げているのが大好きだった。
雨の日はトタンの屋根にトンタッ トンタッ トンタッ とあたる雨の音を聞いていた。
目を閉じながらうさぎ小屋の隅っこにうずくまっていると、いつも足元にくんくんと鼻先を押しあててくる薄茶色の大きなうさぎが、私の大の仲良しだった。小鳥の羽音と、うさぎたちの息づかいを感じると、友達といるよりも安心できた。
うさぎや、小鳥と一緒にいるのと同じくらい安心できた場所は、おばあちゃんと過ごす時間だった。
幼稚園を休むたびに、私はおばあちゃんと過ごしていた。
時々私がズル休みをすると、知ってか知らずか私を連れ
おばあちゃんは、自宅介護だったおじいちゃんの病院受診へ出かけた。
家族介護では、痰の吸引や、導尿といった医療的ケアも許されるのだが、おばあちゃんはとにかく何でも自分でやっていた。最後には、鼻から経管栄養の管まで入れ替えられるようになっていた。おばあちゃんは、まさにスーパーおばあちゃんだった。
おばあちゃんが看護師さんから指導を受ける様子を、ベッドの脇からよじ登るようにしながらいつもジッと眺めていた。
大人になり介護の仕事に就き、それをこなしていたおばあちゃんの凄さを改めて知った。
当たり前のように説明を聞き、当たり前のようにその日から淡々と新しく身につけた事をこなしていくおばあちゃんは、まるで技術の習得を楽しんでいたようにも見えた。
介護をどう感じ、どう捉えるか
私は、あの頃おばあちゃんから教えてもらった気がする。
つづく…